紅の炎(ほむら)立つなり八重椿 刹那の恋に身をば焦がしつ
照滴070
本文
紅の炎(ほむら)立つなり八重椿 刹那の恋に身をば焦がしつ
形式:
#短歌
カテゴリ:
#6.情愛・人間関係
ラベル:
#花 #恋愛 #比喩
キーワード:
#椿 #炎 #紅 #刹那 #恋 #激情 #身を焦がす
要点:
八重椿の鮮烈な紅を、燃え上がる刹那の恋の比喩として歌う。
現代語訳:
真紅の炎のように八重椿が咲き誇る。〔やがてぽとりと落ちるのだが、〕その瞬間の恋に、私は身も心も焼き焦がしている。
注釈:
八重椿:重なり合う花弁が豪奢で、燃えるような紅に喩えられる。
刹那:仏教語の短い時間の単位。ここでは一瞬の恋の激しさを表す。
解説:
八重椿の花に重ねたのは、刹那的で激しい恋。仏教的時間観の「刹那」を持ち込みつつ、激情を自然の象徴で表す。恋の無常性と燃焼感を併せ持つ作品。
深掘り_嵯峨
激しくも儚い恋の情熱を、椿というモチーフで表現した歌です。「紅の炎」のように激しい情熱を帯びた「八重椿」は、花の命の短さと首から落ちる潔さを持ちます。この椿のように、「刹那の恋」に「身を焦がす」という、無常を理解しながらも、一瞬の情熱に全てを懸ける人間的な業を詠んでいます。